ピアノを教え始めて24年目に入りました。1番最初は、音楽教室勤務でした。今でも、その頃の事を時々思い出すことがあります。
その頃、30名ほどの生徒さんを受け持っていました。30名いれば、それぞれ。幸い、ピアノは個人レッスンということもあり、お互い打ちとけるのにはあまり時間はかかりません。しかし、何ヶ月たっても、一言も話さない生徒さんがいました。
私の性格上、そういう子ほど、人一倍話かけ、なんとかお話したいな、と、いつも思っていました。
その子は、別に、私の話を聞いていない訳ではありません。声は出ませんが、うなずいてはくれていました。
そうして月日は流れ、話さないし、卒業してしまうんだろうな…と思っていた私の心配はあたらず、中学生になっても、高校生になっても、続けて通ってくれました。
4年がたった時、私が結婚し音楽教室を去る事となり、その子ともお別れになりました。
ある日、お母様にそのことを、何気なく話てみたところ、え!?家ではよくしゃべるんですけどね。と。
最後まで、会話する事なく終わってしまったので、あ…やっぱり嫌われていたかなあ…とずっと思っていました。
それから…数年がたったある日、ポストに手紙が届いていました。
誰からかと宛名を見ると、なんとその生徒さんからです。急いで中を開けてみると…
ピアノのレッスン、いつも楽しかったです。と書いてありました。話さないから→つまらない→嫌われている、ではないのだなと。
無口な子もいれば、話す子もいて、様々それぞれなんだなと。個性を尊重し、大切にすることを忘れないでいたいです。